コールセンター事業のリモート化はAIで成功させる:Part1-その課題を知る

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ビジネスに限らず様々な分野で取り上げられることの多い技術、AI(人工知能)。ビジネスプロセスの合理化やカスタマーエクスペリエンスの向上などその利用目的は多岐にわたります。

もっとも、トレンドワードとしての「AI」はこの10年間ですでに使い古された感があります。それで、そもそもAIとはなんぞやという定義・どう活用いたらいいかという使い道などについて、混乱が生じているのも事実です。また、日本においてはAIへの関心は高いものの、利用率となると世界平均を下回っている現状があります。

だからといって、はなからAI導入をあきらめてしまうのは、ちょっと性急に過ぎるというものです。ポイントをしっかり押さえればきちんと結果を出す、それがAIだからです。
そこで、この記事を含めた一連のエントリでは、
1.カスタマーエクスペリエンス(CX)業界においてAIが意味するものは何か。
2.AIを導入するメリットを最大限引き出すための秘策とは。
3.現在の世界情勢を鑑みて、事業のリモート化にAIをどのように組み込めるか
こうした点を取り上げたいと思います。

 

コールセンターの8割近くがAIを導入済か計画中

近年、多くのコールセンターがAIの導入を目指してきました。
Bright Pattern主催で Canam Researchが実施したAIに関する調査によると、米国のコールセンターの78%が、AIを使用中または今後3年以内に導入を計画中だということです。
興味深いのは、現在のコールセンタースタッフを一部またはすべてAIと置き換えることを計画している企業は7%に過ぎず、残り93%の企業はAIをオペレータのサポートとして使用する計画であると回答していることです。

 

コールセンターがAIを採用する際の主な目標として、コスト削減やセルフサービスの拡充、応答速度(電話をかけてきた顧客の待ち時間)の短縮、顧客満足度の向上、オペレータの支援、そしてROI(投資利益率)の向上が挙げられます。
前述の調査では、AI導入の目標について、回答者の57%がコールセンターのコスト削減であると回答し、45%は応答速度の短縮であると回答しています。また、回答者の多くがAIを使用したメール・音声・チャットといったオムニチャネルインタラクションの強化に関心を寄せています。
将来的には、手間と時間のかかる品質管理に関連した手動処理を自動化し、デジタルチャネルを含むすべてのインタラクションの品質を100%測定できるようにするという点で、AIは大きな役割を果たすだろうともいわれています。

 

AIのメリットについては既に十分なエビデンスが提示されています。コールセンターはAIを使用して、様々な困難や障害にも取り組んできました。 AIは非常に汎用性が高いため、リモートで稼働しているオペレータを集約した仮想コンタクトセンターを作り上げる等、状況に合わせた使い方ができるのも魅力です。

 

コールセンター業務をリモート化する際には、従来型センターと同程度の生産性をいかにして確保するかが大きな問題となります。事業のリモート化特有の課題やハードルが存在するからです。シームレスでより高度なカスタマーエクスペリエンス(CX)を提供するためには、カスタマーエクスペリエンス(CX)責任者とコールセンターマネージャーが、こうした課題に積極的に取り組み、解決することが求められます。

そこで力を発揮するのが、AIです。

 

業務のリモート化で直面する課題

リモート化で失敗しないのための6つのAI活用法は後ほどご紹介するとして、ここではまず、業務をリモート化する際に生じる特有の課題を整理しておきましょう。

代表的な4つの課題をご紹介します。

1.コミュニケーションの低下
リモート化すると、オペレータ同士による対面コミュニケーションの機会が激減します。そうなると、何か問題が発生した時、すぐに同僚に助けを求めにくく感じるかもしれません。
その結果、チームのメンバーと一緒に問題解決に取り組んだり、その場ですぐにサポートしたりといったこれまではごく普通に行えていたことが難しくなってしまいます。

2.従業員の分散化によりチームワークの維持が困難に
事業をリモート化すると、通勤など地理的制約がなくなるので、国内、または世界各地にオペレータが点在するようになります。そこで生じるのが、いかにチームワークを高め、企業風土を醸成するかという課題です。
また海外在住のメンバーがいる場合、時差も問題になります。チーム一丸となってプロジェクトに取り組んだり、会議の予定を立てたりする面で難しさを感じることもあるかもしれません。

3.品質保証が困難に
国内あるいは世界中に点在しているオペレータが複数チャネルで行なうインタラクションはすべて、マネージャーや管理者が監視(モニタリング)できる状態でなければいけません。こうした要件を満たす品質保証プログラムを採用できるかが課題となります。

4.サイロ化により感じる孤独
オペレータに物理的な距離があると、気軽なコミュニケーションが取りにくくなります。すると、チーム内で分断やサイロが生じ、結果として提供するカスタマーエクスペリエンスもシームレスどころかバラバラになってしまい、顧客満足度に悪影響が及ぶ可能性も出てきてしまいます。

 

リモート化するメリット

ここまで、事業のリモート化に伴って生じうる4つの課題を挙げました。
こうした課題があるとしても、それを上回るメリットがリモート化にはあります。
たとえば、

  • スケジュールの柔軟性
  • 勤務地の柔軟性(通勤不要)
  • 優秀な人材の確保
  • 家族との時間が増加
  • 在宅勤務が可能
  • 事務用品やオフィス機器などのコスト削減
  • 有事の際の事業継続

などなど。細かいところまであげたら枚挙にいとまがありません。

前述したような事業のリモート化で生じうる課題をクリアして、逆に多くのメリットを享受するために、役立つのがAIです。

カスタマーエクスペリエンスにフォーカスしたアメリカの技術集団「Waterfield Technologies」のプロダクトイノベーション担当VPでもあり、グローバルイノベーションやソリューションコンサルティングの分野で30年以上の経験を持つMike Hentges氏は、コールセンターへのAI導入について次のような見通しを述べています。

「かつてないほど増加している呼量に限られた人数のリモートオペレータで対応するため、多くのコールセンターがAIを採用しています。
従来の単純なFAQボットによる対応を超えて、音声対応のAIツールの利用がどんどん推進されています。そしてそういったAIツールは、使いやすく、カスタマージャーニー全体をサポートできるような、顧客一人一人にパーソナライズされ、意図がはっきりしているカスタマーサービスを提供するというところに設計主眼が置かれています。」

さらにこうも語っています。

「AIの導入=多額のコストや長期間の導入プロセスが必要 というのは間違いです。
実のところ、AIの導入は、基本的なことから始めて徐々に機能を追加していくのが正解です。
インテリジェントなボットを短期間で導入し、それから、顧客のニーズに応じて機能を増やしている企業は、最初に優先順位を見極めて段階的なアプローチを取り入れています。どの機能に投資して拡張するかについての明確なロードマップがあるので、すぐに結果をだせるのです。」

 

どうです?
AIは何だかよくわからないとか、AIは高いから、と最初から手もつけないのはもったいないと思いませんか。
この記事では、業務のリモート化に際して生じうる課題を4つほど、そしてAIというのは結構手が出しやすい技術でもあるという点をご紹介しました。

続くエントリでは、リモート化で生じる課題をクリアして成功するための上手なAI活用法として6つのヒントを順にご紹介していきます。
乞うご期待!

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