コールセンターの最重要KPI あふれ呼・放棄呼を減らす最新の取り組み

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前回の記事では、あふれ呼、放棄呼とは何か、また、コールセンターにとって、なぜそれほど大切な数値なのかをご説明しました。

この記事では、どのように、あふれ呼や放棄呼を減らすことが出来るか、いくつかの方法を考えてみましょう。

IVRを変更する

放棄呼の大きな要因の一つは、IVRが長すぎる、不明確であるという点です。「利用したコールセンターのサービスに対する不満」をまとめた調査で「音声応答システムでの番号入力」が29%と全体の3割ほどになっている事からも、その点がよく分かります。

IVR毎の放棄呼のKPIを取りますと、どのくらいが長すぎるのか、どのIVRが不明確になっているかが容易に把握できます。

オペレータを増やす

放棄呼を減らすためにオペレータの数を増やすというすぐに思いつく対処法もありますが、それほど簡単ではありません。現在は、オペレータの数はどのコールセンターでも不足気味です。

理由として、正規社員としての雇用機会が他の業種と比べ少ないため、「仕事がストレスフルなうえに将来性がない」というイメージが定藩したことがあげられています。

コールセンター白書では、

オペレータに関しては依然として非正規社員が主力であることに変化はない。「一部派遣社員・パートタイマー(自社契約社員)」は2013年が40%に対し2018年は58%、「すべて派避社員・パートタイマー(自社契約社員)」は2013年が26%に対し、2018年は15%だ。

と報告されており、こうした現状を数値で裏付けています。

待機時間が関係しない分野もある

放棄呼には待機時間以外の様々な理由が関連しています。というのは、待機時間が長くても放棄呼にならないケースもあるからです。

例えば、どうしてもつながってほしい緊急な場合、あるいはどうしても解決したい場合は、待たされてもお客様から切断しないというケースもあります。逆に、それほど重要でない、あるいは別の方法でコンタクトが取れるなどの理由で、すぐにつながらないなら切ってしまうというケースもあります。

放棄呼になるタイミングの見極めが大事!

どれほどあふれ呼、放棄呼があるかという数字と同時に、どれほど待たされてから切断という判断になったのかという、放棄呼になる時間をIVR毎に統計をとり、IVR毎に効率的に人員を配置することが重要です。こうした統計情報を基にKPIを取り、それにマッチしたバランスの取れたマネージメントをすることが大事な取り組みです。

対応時間を短くするのは、いつでも有効。

お客様一人あたりの対応時間を短くすることで、より多くの呼に対応する取り組みがなされています。これは放棄呼を減らし、業務の効率化を計るうえで最も基本的な方法です。

対応時間を短くするにはオペレータの訓練が実際的な方法ですが、これは多くのコールセンターですでに実施されております。コールセンターにおいてフォローアップ研修やトレーニングを「定期的に実施」するが全体の47%を占めていると言われています。(※コールセンター白書 図2-2-22)

しかし、訓練を実施する側のSVの業務の負荷を考えると実施は容易ではありません。「SVl人あたりの担当オペレータ数」は、54%が「6~10人」(※コールセンター白書 図2-2-32)と言われているほどで、その負荷は相当なものです。

そのため、システム側でも様々な取り組みがなされています。具体的には、オペレータが素早く解決策を提示出来るよう、関連する過去のFAQを参照出来るようにしているものもあります。実際に、「導入・導入検討しているソリューション分野」を聞いた結果として、「FAQなどのナレッジ検索の精度向上」が68.4%となっており、その関心度の高さがうかがえます。(※コールセンター白書2018図2-3-15)

さらに進んた最新技術として、AIを使って似た過去の事例を基にオートサジェスチョン(システム側より自動で解決策の候補を提示する)をオペレータに対して行い、調査の時間やタイピングの時間を節約できるシステムもあります。実際に、「AIソリューションを導入・導入検討した理曲」を聞いた結果として、「人手不足対策のため顧客対応を自動化、あるいはオペレータによる対応の生産性を上げたい|が76.3%を占めていることからも、AIが対応生産性をあげるのに、大きな注目を集めている事が分かります(※コールセンター白書 図2-3-16)