コールセンターの最重要KPI あふれ呼・放棄呼とは

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コールセンター業界でよく耳にする、あふれ呼、放棄呼という言葉ですが、コールセンター業務において大事な要素として常に考察されています。

コールセンター白書2018でも、

「コールセンターのKPIについては、5年前も現在も「放棄呼率(応答率)」が最優先となっている。」

と書かれているとおりです。(※コールセンタ白書2018、8ページ)

では、あふれ呼、放棄呼とは何でしょうか。コールセンターにとって、なぜ、それほど大切な数値なのでしょうか。

あふれ呼・放棄呼とは

放棄呼(Abandoned Calls)とは、オペレータに繋がる前にお客様が切断した、あるいはシステム側にて切断したコールを意味します。

あふれ呼とは、コールが集中して、用意した電話回線数に対してコールが溢れることを意味します。お客様からみると、ビジー状態(話中状態)になっている状況です。

平均放棄呼率は8.3%

放棄呼率・放棄率(Abandon Rate)は、かかってきた電話に対する放棄呼の割合です。

多くのセンターが重視している放棄呼率の平均値を聞いた結果がコールセンター白書2018の図2-2-49に出ていますが、平均値は8.3%で前年(6.7%)より悪化しています。業種別に見ても、すべての業種で昨年度調査を上回る数値となっているようです。

なぜ、大切?

コールが放棄されるということは、発信者が保留時間に不満を抱いていると言い換える事ができます。逆に放棄呼が少ないということは、電話が繋がりやすいので、保留時間に不満を抱かせていないコールセンターとなります。

つまり放棄呼は、コールセンターのサービスレベルの大きなポイントである、つながりやすさを分析するための要素として用いられます。

実際に、「利用したコールセンターのサービスに対する不満」をまとめた最近調査でも、「待ち時間が長い」が62.5%を占めています。以下、「話中が多い」(33.3%)、「音声応答システムでの番号入力」(29%)と続くことを考えると、つながりやすさはお客様が判断するサービスレベルに大きな影響を与えている事が分かります。(※コールセンター白書2018 図3-1-8)

コールセンターには数えきれないほどの管理指標がありますが、「最も重要視している品質指標」を聞いた調査によると、「放棄呼率(応答率)」が56.9%と圧倒的多数を占め、その比率は昨年度調査(44.6%)をはるかに上回っていることが報告されています。(※コールセンター白書図2-2-45)

着信してからオペレータにつながるまでの「平均応答時間」は、100社ほどのうち54%が「10秒台以下」、平均値は23秒くらいのようです。これは、昨年度調査(15.5秒)よりかなり長くなっています。こうして現在のコールセンターの平均応答時間をここ数年の調査と比較すると、お客様からみると電話がつながりにくい結果となっていることがわかります。(※コールセンター白書2018 図2-2-51)

確かにあふれ呼や放棄呼は、つながらないお客様にとっては大きなストレスとなりますし、企業にとってはせっかくの受注機会を失うことになりますので、コールセンターにとって放棄呼率の増加は、現在取り組むべき最優先課題の一つとなっています。